英語をBGMのように流しておけば、いずれ子どもは自然と英語を話せるようになる、という俗説がありますが、果たして本当にそうなのでしょうか。実は幼児の脳の仕組みを考えると、ただ音を流すだけでは、英語を話せるようになるとは限りません。この記事では、その理由と、英語が苦手な親でも効果につなげやすい英会話教室との併用術を解説します。
赤ちゃんは生まれた直後、世界中のあらゆる言語の音を聞き分ける力を持っています。しかし生後6〜12か月ごろを迎えると、脳は普段から耳にする母語の音へ優先的に適応を開始。その結果、その他の言語特有の音を識別する力は徐々に弱まっていきます。
実際、米国の研究(PNAS掲載)でも興味深い結果が報告されています。生後9か月の乳児に中国語を聞かせる実験において、対面で人と交流しながら話しかけられた場合には音の学習効果が見られた一方、録画映像や音声のみを聞かせた場合には効果が確認されませんでした。
つまり、意味の分からない英語をただBGMのように流すだけでは、脳が「自分に関係のない背景音」として聞き過ごしてしまうのです。英語がただ耳に入ることと、言葉として学ぶことは別物。言葉の習得には、会話のキャッチボールが必要になるのです。
参照元:PNAS(米国科学アカデミー紀要)https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.153287)
英語をBGMのように一日中流しておくことには、思わぬリスクもあります。
たとえば、子どもが英語に興味を示していないにも関わらず、毎日英語を長時間聞かされていると、英語そのもにネガティブな印象を抱いてしまうことがあるからです。また、子どもが日本語の土台作りをする大切な時期であるにもかかわらず、英語の流しっぱなしで親子の日本語での会話機会が減ってしまえば、子どもの日本語能力の発達に支障が生じる可能性もあります。
聞き流しを試みる場合は、「長く流せば流すほど良い」というものではないことを理解しておくとよいでしょう。
幼児が英語を単なる「音」ではなく「意味のある言葉」として吸収していくためには、ただ耳で聞き取るだけでは不十分です。目の前で起きている様子や体の動き、そして、そばにいる親の表情や温かい反応といった多角的な手掛かりが重なって初めて、音と意味がしっかりと結びつき、記憶へと定着します。
たとえば、“Touch your head”という音声に合わせて、親が楽しそうに自分の頭に触れてみせる場面を想像してみてください。その際、子どもも真似して頭に触れたら、笑顔で大きくうなずいたり、「できたね!」と一緒に喜んだりしてあげる、こんな工夫が大切です。
このように「聞く・見る・動く」の体験に親子の共感をプラスすることが、言葉の定着を高めるポイントになります。正確な発音にこだわる必要はありません。「楽しむ姿」を全力で見せることで、子どもも楽しく英語に向き合えるようになります。
英語に触れさせる時間は、長ければ長いほど良いというわけではありません。一日中BGMのように流し続けるのではなく、まずは「1回10〜15分程度」と時間を区切り、子どもの機嫌が良いタイミングや生活習慣に合わせて取り入れるのがコツです。
実践する際は、英語の歌に合わせて手拍子を打ったり、動物の名前が聞こえたらぬいぐるみを指さしたりと、身近な遊びと組み合わせると効果的。親子で一緒に口ずさんだり、途中で音声を止めて「今のなんだったかな?」と問いかけて子どもの反応を待ったりするだけでも十分です。
聞き流しは、あくまで英語の音やリズムに親しむための「土台づくり」。その土台を生かすためにも、親子のスキンシップややり取りと上手にかみ合わせながら、無理のないペースで子どもの英語力を育んでいきましょう。
英語に苦手意識のある保護者にとって、家庭内で日常的に英語で話しかけ続けるのは大きな負担となるかもしれません。そのようなときには、英会話教室を活用すれば、子どもと英語でやり取りをする役割をプロの講師に一任できます。
歌やゲーム、ピクチャーカードなどを駆使し、子どもの反応を見ながら飽きさせないレッスン内容になっています。家庭では、子どもが覚えた言葉に「すごいね!」と関心を示し、一緒に楽しむ姿勢を大切にしましょう。
英会話教室を利用する際は、家庭と教室での役割を明確に切り分けると学習効果が高まります。たとえば「家では短時間の聞き流しや歌で音に親しみ、教室では講師や友達と実際に会話する」といったスタンスです。
具体的には、家庭で歌を通して色の名前をインプットし、教室で講師に尋ねられた際に英語で答えてみるなど。家庭での「インプット(聞く)」と教室での「アウトプット(話す)」を連動させることで、耳にした音を実際の場面で使う経験が生まれ、言葉としての定着が少しずつ進んでいきます。
教室で習った歌を家でも一緒に歌ってみるなど、日々の生活とうまくつなげながら、自然と英語に触れる習慣をつくっていきましょう。
一口に英会話教室といっても、講師が外国人か日本人か、少人数制レッスンかグループレッスンかなど、スクールごとに特徴はさまざま。子どもとの相性もあるため、パンフレットや公式サイトの情報だけで即決せず、まずは体験レッスンで教室の空気感や教え方を確かめてみましょう。
多くの英会話教室では、体験レッスンを見学することができます。その際、子どもが楽しそうにしていたか、講師が反応に合わせて丁寧に声をかけてくれていたかなど、可能な範囲で全体をチェックしましょう。ひとつの教室だけでなく、複数の教室の体験レッスンを受けてみて、「子どもが伸び伸びと楽しく続けられそうな環境か」という点を基準に各教室を比較してみてください。
幼児期における英語の聞き流しは、ただ音声を流し続けるだけでは学習効果が得られにくく、「親子の触れ合い」や「実際の体験」とセットで取り組むことが大切です。
もし親自身が英語に苦手意識を感じているなら、家庭と英会話教室で役割を明確に分けるスタイルがおすすめ。家庭では短時間の聞き流しで音やリズムに親しみ、教室では講師や友達とのリアルなやり取りを通してアウトプットの機会をつくりましょう。
英会話教室によってカリキュラムや雰囲気はさまざまです。まずは複数の教室の体験レッスンへ足を運び、子どもが「楽しい!」と笑顔で学習を続けられる環境を見つけましょう。
講師スタイル別に、幼児期から通える子ども英会話スクールを紹介します。子どもに合った学び方を選ぶために、ぜひ参考にしてみてください。
※選定基準※
2022年3月10日時点で、「子ども 英会話スクール」でGoogle検索してヒットした上位40校を選定。
そのうち、全国47都道府県に校舎があり、少人数(8名まで)のレッスンに対応しているスクール3社をピックアップ。